自由参加イベント「花畑は優しい旅人の夢を見る」

開催期間:2020年3月3日(火)~2020年3月31日(火)

 

そこは、暴風のせいで荒れてしまった花畑。

「なんでもいい、花を持ってきてはくれませんか」

管理ロボットは悲しげに訴えかけます。

どんな形でもいい、あなただけの「花」を持ってきてください。

 

✿集まった「花」たち

 

【最新更新】2020.03.31 21:30

✿イベント概要✿

広い荒野のど真ん中、オアシスのように花が咲き乱れる花畑がありました。

しかし、先日大変大きな風が吹いて花たちは吹き飛ばされてしまい、かつての彩りは失われてしまいました。

訪れた旅人に、花畑を管理するロボットが、飛ばされてしまった花の代わりを持ってきてほしいとお願いしてきます。

「花」は“どんな形”でも“どんなにおい”でも“どんな色”でも構いません。言ってしまえば“どんなもの”でもOKです。

寂しい花畑を鮮やかに蘇らせる手助けをしてください。

 

 

ベントキャラクター(NPC)

NPCは創作の際自由に使っていただいて構いません。

 

【花畑管理ロボット】

 

荒野の真ん中の花畑を管理するロボット。

花畑の中に立っている小さな木製小屋に住んでいる。

小屋の中の井戸から湧く水を体内に溜め、花畑の花たちに水をやっていた。

花畑から外に出たことはなく、なんでも「花」と言われたら信じてしまうおちゃめな一面も。

いつからこの花畑を管理していたのか、作ったのは誰なのかなど聞いても答えを濁されてしまう。

 

「なんでもいい、花を持ってきてくれませんか」

「…ボクの…花畑を…どうか…」

illustration/園長


✿閑話✿


✿やがて

突然、地響きが起こった。

大きな音と共に、周りの荒野が沈んでいく…否、「花畑が上昇していく」。

ロボットは嬉しそうに叫んだ。

「出てきてくれたんですね!“花畑”さん!」

上昇した花畑の側面から太い4本の足、細い鞭のようなしっぽ、そして大きな丸い頭が姿を現した。

「…なぜ、なぜあなたがまだここにいるの…!?」

それは、背中の甲羅の上に花畑を携えた「巨大な亀」であった。

「あなた、何故…」

「あの嵐の日から、花畑さんが甲羅に閉じこもってしまいました。花畑さんにまた出てきて欲しくて、旅人さんに手伝ってもらって花を集めてもらいました。」

「…私、あなたの花畑を台無しにしたのよ。どうして…」

「あれは嵐のせいであなたのせいではありません。ボク、花畑さんともう一度暮らしたいです。」

「…私…」

ふと、花畑さんと呼ばれる大きな亀はぽかんとした表情をした旅人に気づき、慌てて首を引っ込めた。

「花畑さん!この方は協力してくれた旅人さんなんです。

あなたに危害はくわえません。」

ロボットはくるりと旅人の方を向く。

「今まで黙っていてすいません。

これまでの事をお話します」

「ボクは、この荒野に廃棄されていたロボットだったようです。転がっていたところを花畑さんに再起動して頂きました。

長期にわたり投げ捨てられていたせいか、ボクの廃棄前の記憶データは破損していました。」

「せめてもの恩返しにと花畑さんの背中にある土を整備させて頂いたところ、土に付着していた草花の種が咲き誇って見事な花畑になったのです」

「…私…」

亀は首を恐る恐る出し語り始めた

「私、せっかくロボットさんが綺麗に咲かせてくれた花畑がなくなってしまったことが悲しくて…

ロボットさんが初めてだったんです。私のことを綺麗だと言ってくれたのは。」

「私の仲間たちはみんな綺麗な宝石を甲羅から生み出す“鉱石亀”だったんです。

それなのに私の背中からは汚い土しか出てきませんでした。

それでいじめられ私は耐えきれずにここまで逃げてきたんです。」

「ここに来て…しばらくして…ロボットさんと出会いました。

背中の土をみて喜んでくれて…こんなもので良ければ好きに使っていいと言ったらみるみる美しい花々を咲かせてくれました。」

「でも…あの嵐で…花はすべて……私、きっとどうやっても綺麗になれないんだと、ずっと甲羅の中で」

「花畑さん!」

「確かに花畑も綺麗でした。でも、ボクが綺麗だと言ったのは、花畑さんの内面なんです。

花畑さんがどんな姿でも、ボクは綺麗だと言います。

花畑さんが自分が嫌いと言うなら、ボクは何度だって花を集めます

だから」

ボスンという音がロボットの頭からしたと思うとロボットは花畑に身を沈めた。

「ロボットさん!」

亀の声に、旅人が慌ててロボットに駆け寄ると、ロボットは目をクルクルと回しながら言った

「…大丈夫です。ちょっと、ショートしました」

すぐに起き上がったロボットに、少し心配そうにしつつも、亀は話す。

「…ロボットさん。本当にありがとう。もし、もし良いのならば、またあなたと過ごしたい」

「もちろんです!」

2人は幸せそうな笑顔で旅人の方をむく。

「本当にありがとうございました」

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旅人は2人が教えた道をしばらく進み、やがて荒野を抜けた。

倒れ込んだロボットの顔と、また一緒に暮らしたいと言った亀の顔を思い出す。

それがまるで、恋する少年少女のようだったのは気のせいか…

そんなことを考えながら旅を続けた。


たくさんのご参加本当にありがとうございました!